今週のトピック

医療行政情報

訪問看護の回数、利用者に応じず「一律決定」はダメ

訪問看護の一部の事業者が利用者への過剰訪問などにより、診療報酬を不正に請求していたとされる問題を巡り、厚生労働省は利用者の状態にかかわらず一律に回数を定めて訪問看護を行うことは認められないとする事務連絡を都道府県などに出した。不正請求の問題を受けて事務連絡を発出したのは初めて。

訪問看護について厚労省は、従来から通知で「漫然かつ画一的なものにならない」など取扱方針を示し、事業者への運用を求めてきた。しかし、今年に入り、精神科の訪問看護をはじめ、難病や末期がんの人を対象とする有料老人ホームなど一部の事業者で、利用者の状態にかかわらず訪問看護の日数や実施時間を一律に定めて過剰に訪問し、報酬を不正請求していたとする指摘が相次で発覚。このため厚労省は、より突っ込んだ形での具体的解釈を示した。

厚労省が10 月22 日に発出した事務連絡では、訪問看護の日数や回数、実施時間などは利用者や家族などの状況に即し、主治医から交付される訪問看護指示書に基づき決定するものであり、利用者の状態を踏まえずに一律に定めることは認められないとした。

また、利用者の訪問に直接携わっていない訪問看護事業者の開設者などが訪問看護の日数などを定めることも認められないとする見解も示した。

厚労省の担当者は、不正請求の適正化について「現場の情報を収集し、次回の診療報酬改定に向けて準備を進めていきたい」と話している。

資料出所:厚生労働省 保険局

https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tohoku/shinsei/shido_kansa/homon/000353488.pdf

東京都がカスハラ防止のガイドライン案を公表

東京都は、顧客などからの迷惑行為を指す「カスタマーハラスメント」(カスハラ)の防止に必要な事項を定めるガイドライン案をまとめた。正当な理由がない過度な要求や、暴言、暴行、土下座の強要など代表的なカスハラを類型化し、事業者側に求められる防止策などを示している。

就業者の人格や尊厳を傷つけるカスハラが深刻化しているとして、都では10 月4 日、カスハラ防止条例を全国で初めて制定し、2025 年4 月に施行される。

ガイドライン案は28 日に開かれた有識者による検討会議で示された。

医療機関も対象に含まれており、カスハラ防止条例に基づき顧客や就業者、事業者の責務を明確にした上で、カスハラ防止に向けた必要事項などを定めている。

顧客が果たすべき責務としては、顧客と就業者は対等の立場であることを前提に、就業者への意見や要望の伝え方を工夫したり、就業者に過失がある場合も冷静な姿勢で改善を求めたりすることなどを挙げた。

就業者側は、顧客からの正当な要求や改善の要望に対し、顧客の心情に配慮した適切な言動を行い、カスハラに至らないようにすることが重要だとし、カスハラを受けた場合の対応や相談先に関する理解を深める必要があるとしている。

一方、事業者側は、雇用関係の有無にかかわらず就業者が被害を受けないようカスハラの防止措置などに積極的に取り組み、カスハラが発生した場合には中止を申し入れるとともに、あらかじめ定めた対応方針に従い適切な措置を取ることを求めている。

検討会議では、業界ごとの関連団体がマニュアルを作成することが望ましいとし、そのための手引きとなる各団体共通マニュアルの素案も示された。

共通マニュアルの素案では、カスハラには原則複数人で対応することや、対面の場合は事務所や店舗の中にあるオープンスペースで対応するなどの方針を整理。

執拗な要求や高圧的な言動、長時間の拘束など場面別の対応例や警察との連携方針なども示した。

カスハラ防止に関する正式なガイドラインは年内をめどに取りまとめ、都が公表する予定。

各団体共通マニュアルは、25 年2 月ごろに開かれる次の検討会議でさらに検討を加えた修正案を示す方針だという。

資料出所:東京都産業労働局

https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/plan/koyou/jourei/kasuhara/index.html

 

医療経営Q&A

高齢患者の満足度を向上させるポイント

Q.高齢患者の満足度を向上させるポイントを、教えてください。

高齢患者へのアプローチとしては、「雨天対応」「ユニバーサルデザイン」「やさしいイメージ作り」が重要となります。

雨天の対応

 

徒歩で通院する患者がゆっくり傘をたたむことができるスペースと、スッキリ収納できる傘立てを用意します。また、せっかくの傘立てが古い傘でいっぱいでは台なしなので、忘れ物の傘は小まめに回収します。

●車で送迎してもらう患者の乗降場所に、雨に濡れないようなひさしがあると良いでしょう。

●運転して送迎してきた人が駐車して戻って来るまで、待機するためのベンチがあるとより良いでしょう。

●入り口付近にベンチを設置します。もし入り口に喫煙スペースがあるなら、喫煙者用のベンチと外で待つ患者用のベンチをできるだけ離し設置します(タバコの煙が不快な患者への配慮が必要)。

●フロア入り口のスロープが滑りやすくなっていないか確認します。マットを敷いたり、防滑施工を行っている業者に頼んだりするなど、転倒事故が起こる前に対策をとります。

●自転車置き場が入り口から遠く離れていてはいけません。雨の中、自転車や乳母車で通院してくる患者にも気を配った設計にできると良いでしょう。

ユニバーサルデザイン

 

階段の上り下りが辛い人のために、入り口の階段をスロープに変えると良いでしょう。デザインよりも患者視点の外観にしましょう。

●手すりの素材に注意しましょう。ステンレスの手すりは耐久性や耐候性に優れていますが、冬には非常に冷たい他、滑りやすいなどの不快感があります。

●スロープの傾斜が真っ直ぐ道路に向かっていると、車椅子やベビーカーが車道に飛び出してしまう危険性があります。建築前に向きを確認するか、建築後なら車道に出てしまわないようにストッパーを設置します。

■やさしいイメージ作り

 

ガーデニングやシンボルツリーでやさしい雰囲気を作ります。

●ガラスの掃除を徹底します。光線の角度により意外に汚れが目立ちます。手の届かない部分は、脚立などを使って曇りのないように保ちましょう。

●駐車場や前の道路は必ず毎日掃除します。清潔感はとても大切なので、できれば12回は掃除したいところです。

患者の待ち時間を減らす順番予約システム

Q.患者の待ち時間を減らす順番予約システムとは、どのようなものですか。

患者の待ち時間を少しでも短くするために、予約制を導入する診療所が増えています。待ち時間の短縮やその時間の苦痛や不満を軽減するためには、次のような工夫があります。

 (1)朝一番の窓口業務

窓口では、診療開始時間までに来院している患者の診療が終了する時間から、予約の受付をスタートしておきます。毎朝9時に10人くらいの患者が来ていれば、予約は930分からスタートさせ、11番から15番までの予約受付をします。

(※朝一番に予約を取っても11番の番号からの予約になる)

 (2)窓口と予約の患者の順番

11番から15番までを予約の患者を入れ、16番から20番までは、窓口に来た患者を入れます。次に21番から25番までを予約の患者と、交互に順番を入れます。

(予約の機械は番号の発行が自由に設定できます)

 (3)予約に遅れてくる患者

予約すると、ギリギリに来院する人が多く、呼び出した時にまだ来院していないことがよくあるようです。そのような場合、3番(もしくは5番)程度順番を繰り下げるようにします。

 (4)高齢の患者

 受付時間中は普通の電話でも予約を取れることとして、受付事務が順番を取ってあげるようにします。

■順番予約システムの注意点

待ち時間を減らす順番予約システムを導入する場合の注意点は、予約した患者と、窓口に来た患者の受付順番ルールを明確にすることです。

 

■予約忘れの患者への対応

ときどき予約日時を忘れてしまい、無断キャンセルになってしまう患者がいます。患者も日常の生活が忙しいので仕方の無いことではありますが、せっかく予約してもらっているのだから、予約日時にきて欲しいのが正直なところでしょう。そこで『前日や当日の朝に予約確認の連絡をする』という対策を講じます。そうすれば、患者の無断キャンセルを防ぐことができます。

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