今週のトピック

医療行政情報

「かかりつけ医機能」結果報告、26年夏ごろから公開

2025年4月に始まる「かかりつけ医機能」の報告制度について、各都道府県は対象となる医療機関からの報告の結果を26年夏ごろから順次公表する。また、報告内容に基づき地域の関係者と協議の場で行う検討を26年度中に開始する。厚生労働省が18日、自治体向け説明会の資料で明らかにした。 

「かかりつけ医機能」の報告制度は、23年5月の全世代型社会保障制度関連法の成立に伴い創設され、25年4月に施行される。この仕組みでは、慢性疾患を有する高齢者らを地域で支えるため、医療機関に「かかりつけ医機能」の報告を求める。

 対象となる特定機能病院と、歯科医療機関を除く全ての医療機関は「日常的な診療を総合的・継続的に行う機能」(1 号機能)を整備しているかを都道府県に医療機関等情報支援システム「G-MIS」で毎年報告する。 

「1号機能」を整備している対象の医療機関は、「通常の診療時間以外の時間に診療を行う機能」(時間外診療)や「入退院時の支援」「在宅医療の提供」「介護と連携した医療提供」などの機能(2号機能)も報告。時間外診療の機能を地域の医療連携で確保する場合は連携先の医療機関名も報告する。初回の報告は26年1-3月になる。

 都道府県は、報告した医療機関が「かかりつけ医機能」を確保している体制が整っていることを確認した上で、外来医療に関する地域の関係者との協議の場に報告するとともに、公表する。また、地域で「かかりつけ医機能」を確保するための具体的な方策を地域の協議の場で検討し、結果を公表する。 

協議を円滑に進めるに当たっては、その目的や内容に応じた「地域のキーパーソンが誰か」ということを都道府県や市町村、医療・介護関係者らと相談して決め、そのキーパーソンも交えて協議することが重要だと厚労省は指摘している。

 

資料出所:厚生労働省 医政局

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001318068.pdf

 

病院の在院患者数、コロナ前を7.6%下回る、外来患者は8.6%減

厚生労働省の「病院報告」(7月分概数)によると、この月の病院の在院患者数(月間)は1日平均113 万8,772 人で、前月から 1.2%増えたが、新型コロナウイルスの感染拡大前の2019年7月との比較では7.6%下回った。

また、病院の外来患者数(月間)は、24年7月は1日平均126万1,184人で、前月からは4.6%増え、19年7月比では8.6%減った。 

病院報告は厚労省が毎月集計、7月分の概数は22日に公表した。 

それによると、同月の病院の在院患者の総数は1日平均113万8,772人で、病床種類別の内訳は、一般病床が64万9,835人(前月比2.0%増)、療養病床は22万8,507人でほぼ横ばい、精神病床が25万9,169人(0.2%増)などだった。新型コロナの感染が拡大する前の19年7月に比べ、以下と、いずれもコロナ前の水準には回復していない。 

 

   ▼一般病床が4.1%減    ▼療養病床が15.5%減    ▼精神病床が8.3%減 

一般病床の 24年7月末時点での病床利用率は74.7%(前月比5.8ポイント上昇)で、19年7月に比べ2.1ポイント低下した。平均在院日数は14.8日(0.5日減)で、19年7月比で0.6日少なかった。療養病床の24年7月末時点での病床利用率は84.9%(前月比0.6ポイント上昇)で、19年7月を2.1ポイント下回った。 

平均在院日数は116.0日(前月比6.5日減)で、19年7月比だと20.2日少なかった。

 

資料出所:厚生労働省 政策統括官付参事官保健統計室

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/byouin/m24/07.html

 

美容医療、麻酔、全身管理の研修「なし」6割超

厚生労働省は、美容外科や皮膚科を標榜するなどの417医療機関の6割超で麻酔下施術を行う医師への麻酔・全身管理に関する研修の制度がないとする調査結果を公表した。 

施術の技術に関する研修がなかった医療機関は2割超あった。 

調査は、厚労省から委託された民間の研究所が実施。医療機関向けの調査では、8月20-9月 17 日に美容外科や皮膚科を標榜する医療機関や、関係学会の会員医師の医療機関の 417施設から回答を得た。 

それによると、院内での研修制度やルール、連携先医療機関の有無について聞いたところ(複数回答)、60.2%の医療機関で、麻酔下施術を行う医師への麻酔・全身管理の研修制度がないと答えた。 

また、47.7%が施術後翌日の患者診察のルールがなかったほか、37.2%が施術ごとに実施可能な医師の限定要件がないと回答した。

施術の技術に関する研修制度がない医療機関は23.5%あった。 施術の技術に関する研修制度がないと回答した98医療機関に理由を聞いたところ(同)、最も多かったのは「研修の必要性を感じないから」(18.4%)だった。 

ほかには、「経営者の判断によるから」(12.2%)や「研修の準備・実施に時間や費用がかか3 るから」「研修のやり方が分からないから」(共に6.1%)など。

                            資料出所:厚生労働省 医政局

                                                  https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001318152.pdf

医療経営Q&A

医療事故への対応

Q.医療事故による、クレームや紛争が起こった場合、どのように対応すれば良いでしょうか?

1)医療事故による患者クレーム発生時の対応

医療側での不注意やミスによる事故なのか、起こりうる可能性があった治療だったのか、接遇や説明不足によるものだったのか等々、原因によって対応策が変わってきます。

ただ、誠意をもって対応に当たる、一人では対応しない、他の患者がいる場合には別室で対応する、示談や和解に持っていくために原因にかかわらずお金で解決しようとしないなどがポイントです。

■患者クレーム発生時の対応

●クレームは医療機関の責任者が対応:クレームを告げられたスタッフではなく、院長や責任者へ取り次ぎ、対応する

●クレームを受ける場所:他の患者がいる受付や待合室、診察室ではなく、院長室や応接室など個室で応対し、患者自身が冷静になる時間と空間を与える

●複数で対応:数的有利な状況を作り、訴えを確実に聞き取る

●経緯を記録(メモ・録音など)する:場所や時間及び訴えについて記録する

●院長やスタッフの自宅や携帯電話の番号は教えない:防犯上、クリニックの電話番号以外は教えない

●交渉は対等な立場で行う:明確に医院側のミスでない限り、お互いの立場は対等な関係であることを認識する。但し、患者は専門の知識がないため、弱い立場と認識し、気配り、心配りは忘れない

●冷静に対応:怒りによって感情が高ぶっている場合が多く、心を鎮めるような言葉を選ぶ

(2)医事紛争が起こった場合の対応

医事紛争となった場合も、原因と紛争内容によって対応が分かれます。

訴えられたり、実際に裁判となった場合、前述のようにクレームになった場合など様々です。 

■医事紛争が起こった場合の対応

紛争が起こりそうになったら、直ちに地区の仲介機関または契約保険会社に連絡して仲介者になってもら

脅迫的に出るなど、相手の態度に悪意が認められる場合は毅然とした態度を示す

正当な折衝ではなく、頻繁に来院して診療を不当に妨げるものは、警察に訴えてもよい

責任を認めたと思われるような、あいまいな態度は取らない

不注意による治療ミスには、どんな言い訳も通用しない

医療事故によって入院中の患者へのお見舞いは、常識の範囲内で行う

紛争が決着しないうちにお金を払うと、中間示談とみなされて以後の交渉が難しくなる

仮に謝罪した事実があっても、ミスの無かったことが証明されれば、賠償金を取られることはない

示談は、患者が完全に治癒したか、後遺症が確定した時に初めて成立するものである

医療事故紛争の予防策

Q.医事紛争を起こさないためには、どのような予防策がありますか?

医事紛争を予防するためには、診療時や患者とのコミュニケーションなどで起こりえる様々な事故やミス、トラブルの発生の事例などを検討して、自院で実施可能なプログラムを作成することをお勧めします。

これらの情報は、スタッフミーティングなどで共有します。

■医事紛争予防策

初診時には、主訴、現症、既往症、特異体質の有無、アレルギー性体質、女性には妊娠等を必ず問診する

 

(問診表を詳しく書いてもらう。代筆はしない)

始めに主訴を処置する

患者の承認、意志を確認する

以前の治療の批判はしない

患者には十分すぎると思われるほど説明をする

(症状、治療内容、治療方針、治療日数、治療費など)

カルテは正確に記録する(部位、病名、診療内容、投薬薬品名など)

麻酔および投薬には十分注意する、以前の治療時に問題が無かったか確認を行う

X線の被爆に対して過敏な患者が多いので十分に注意する、特に妊婦には防護エプロンを使用する

疾病が専門外のときは転医転院を勧める

常に医科の病院や診療所、医師との強調を心がけ、協力体制を作っておく

電話には注意する(録音されていることがある)

メールやライン等SNSにも注意する(連絡や記載内容が残る)

事故やトラブルが発生したら、直ちに医師会等に相談して事後処理に当たる

(当事者同士の話し合いはこじれるケースが多い)

医師賠償責任保険に必ず加入する、加入していることは患者に決して口外しない

救急薬品、酸素吸入器、血圧計、AED等を用意する

患者の衣服、身体などに、薬物による汚染を防ぐためのエプロンや防護服を用意する

(スタッフへの感染予防のためにも)

 

守秘義務や個人情報保護法に違反しない患者には十分すぎると思われるほど説明をする

(症状、治療内容、治療方針、治療日数、治療費など)

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